「ひかりの輪構成員がサリン事件を正当化」という公安審決定が、歪曲証拠による誤りである件
2012年01月24日
公安審査委員会は、昨日(2012年1月23日)の決定において、ひかりの輪への観察処分を更新する理由として、構成員の中に「サリン事件を正当化」する発言をしている者がいるから、ということを挙げています。それは、読売新聞(2012年1月23日付)でも、以下の通り報道されています。
ひかりの輪側は「松本死刑囚と決別し、教団の教義から脱却した」とし、「無差別大量殺人の首謀者が団体の活動に影響力を有する」ことを要件とする観察処分の対象にはならないと主張したが、公安審は「信者は地下鉄、松本両サリン事件を正当化するなど、現在も危険な教義に従う意思を有している」と退けた。
しかし、これは、この構成員がオウムやアレフにおける危険な考え方について批判して述べていることを、あたかも現在の構成員がそう考えているかのように公安調査庁が歪曲した証拠を、公安審査委員会が無批判に採用してしまったものなのです。
その詳細を以下に記します。
* * *
まず、公安調査庁は、「サリン事件を正当化する」ひかりの輪構成員の発言として、以下のように引用しています。
「サリン事件ですら正しいというふうに、長い目で見たら正しいことっていうのはあるのかもしれないですから。」
(公安調査庁の証拠5の97頁)
――確かに、これだけを 見れば「サリン事件等を正当化する発言」に見えます。しかし、公安調査庁の証拠をよく見れば、この発言の前後には、次のように書かれているのです。
ある男性との会話に、ひかりの輪の出家構成員が答えているものです。
(男性)前世、現世、来世の全てを知ってる グルが言ってるから、それは現世だけの観念であって、全体としてみると、別にそれは正しい指示なんだという。
(出家した構成員)
そうそうそう。そういうのを信じようと思っちゃうんですね。だから、きっと、もしかしたら、あれだけど、もしかしたら分かんないじゃないですか、だって。 自分が未知の世界を、未知の範囲を(聴取不能)。サリン事件ですら正しいというふうに、長い目で見たら正しいことっていうのはあるのかもしれないで すから。 思ってるから。(聴取不能)だから、「グルには深いお考えがあったんでしょう」とかいうふうに言ってるんですね。
(公 安調査庁の証拠5-121より抜粋)
上の、下線部分が、公安調査庁が引用していた箇所です。
さらに、この証拠には、同じ出家構成員が、上の会話の後、次のように話していることも記されていました。
(出家 した構成員)
そこで、殴るという行為自身をも愛なんだという、そういう言い方なんですよ、形で。要は、(聴取不能)をやってて。要は、今生、地 獄に落ちる者がいたら、ポアして、そして、高い世界へ上げるというのは、それは、一つの愛なんだとかさ、ってふうになっちゃいますからね。(聴取不能)怖いことに。
(公安調査庁の証拠5-121より抜粋)
こうして、前後を見ればすぐにわかるこ とですが、この出家構成員は、オウムやアレフにおけるグル(霊的指導者)の考え方を質問されて、それに対して、「(オウム・アレフでは)思っている」 「(オウム・アレフでは)言ってる」という意味で述べているのです。
そして、そうした考え方は「怖いこと」だとも述べているのです。
現に、この出家構成員は、別の箇所でも、オウムのように輪廻転生(人は死んでも生まれ変わるという考え方)を絶対視すると他人を「ポワ」「殺していい」と 考えてしまうようになりかねないから「そこまでは絶対視しちゃいけないと思う」と述べ、麻原を批判した上で、「ひかりの輪」ではそういう考え方をとっていないと説明しています(公安調査庁の証拠5-124に記載)。
さらに、この出家構成員は、次のようにも述べています。
昔、事実、俺たちは偉いんだというふうなのになっちゃって、それで、自分たちが殺したら、殺して、悪業多き魂を殺すことによって、高い世界に上げることが 善業なんだっていうふうになって、善業っていうかね、そういうことが愛なんだっていうふうにまで言ってしまっているからね。俺たちによって殺されたのは幸福であるみたいな、俺たちと縁が付いたんだとかって、そこまで傲慢になっちゃってるから。
(公安調査庁の証拠5-124より抜粋)
ここからも、この出家構成員が、「昔」のオウムの人殺しを肯定するような考え方は「傲慢」だと批判する考えを持っていることがわかります。
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以上の通り、この出家構成員は、オウム・アレフの考え方を反省して客観的に述べ、批判しているのです。
しかし、公安調査庁は、それがわかる前後の部分をカットした上で、あたかも、現在の「ひかりの輪」の出家構成員がそうした考え方を持っているかのように、意図的な抜粋をして、発言者の意図を正反対のものに歪曲して、公安審査委員会に提出しているのです。
そして、公安審査委員会は、時間がないために十分な検討ができなかったのか不明ですが、この公安調査庁の"証拠"をそのまま採用して、事実認定をして、発表してしまったのです。
さらに、マスコミ各社は、これをそのまま報道してしまい、あたかも「ひかりの輪」がサリン事件を肯定しているかのような誤った情報が流布されていっているのが現在の状況です。
今回「サリン事件を正当化する」構成員の発言として公安調査庁が提出してきた証拠は、上記のただ一人のものだけです。その実態が上記の通りなのです。
説明のために以上に引用した公安調査庁提出の証拠は、全部非公開になっており、ごく限られた日時にしか「ひかりの輪」側に公開してもらえませんでした(それもコピーはもらえず、書き写すことが許された だけです)。
もちろん、マスコミ関係者が閲覧して検証することも不可能です。
このように、非公開の公安調査庁の証拠が、非公開の公安審査委員会の場で、わずかな時間をもって審議され、誤った形で発表・流布され、市民の不安を煽ってしまっているのは大きな問題といわざるをえません。
当団体では、こうした証拠の扱いや事実認定は、公開の場で十分な時間をかけて行われるべきだと考えていま す。