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メディア掲載(2010年)

「秋葉原の無差別殺人は"一人オウム"の事件です――上祐代表が語るオウム・麻原・宗教とは」(『実話マッドマックス』2010年9月号コアマガジン)


実話マッドマックス・人間インタビュー

秋葉原の無差別殺人は"一人オウム"の事件です。
――オウム真理教の元外報部長で、現在、宗教団体「ひかりの輪」代表である上祐史浩。悪夢の地下鉄サリン事件から15年、新教団を率いる代表が語る「オウム」「麻原」「宗教」とは
宗教団体ひかりの輪 代表 上祐史浩



「ああ言えば、上祐」宗教観をめぐる激論」

 上祐史浩さんをご記憶だろうか?
 地下鉄サリン事件などを引き起こしたオウム真理教の元外報部長。論に負けない雄弁で名高く、事件の発覚当時、テレビ報道が盛んだったころには「ああ言えば、上祐」とまでいわれた。
 ざっと彼の経歴を記しておくと、86年、オウム真理教(当時はオウム神仙の会)に入会。92年、教団のロシア支部に派遣される。95年10月、熊本県波野村の土地取得をめぐり、国土利用計画法違反で逮捕された。懲役3年の実刑判決を受け、99年に出所。
  2002年、オウムの後身団体アーレフの代表となったが、教祖・麻原彰晃の影響を排除する方向で改革を目指したため、麻原への回帰を盲信する主流派の反発 を買い、翌年から事実上軟禁される。07年8月、アーレフを脱退し、同年5月に新教団「ひかりの輪」を設立、代表に就いて、今に至る――。

  「ひかりの輪」の東京本部は、京王線・千歳烏山駅が最寄駅である。歩いて数分。教団が賃借する低層マンションの前には相変わらず公安調査庁の職員が詰め、 教団を訪ねる者の身元を質そうと質問してくる。マンションの外壁には「オウムは出ていけ」といった横断幕が掲げられている。
 1階右側に50畳ほ どの広間。正面にお釈迦様が祀られ、道場に使われている。そこで上祐さんと向き合った。事件の発覚からすでに15年。その間、刑務所で3年ほど臭い飯も 食ったはずだが、痩せず、太らず、当時の体型と顔つきを維持している。手で撫で上げたような顔、好男子の部類だろう。
 口調も15年前のまま。相変わらず「ああ言えば、上祐」で、まるでへこたれず、途切れ目なく長々と熱弁を振るう(よってカットして、要所、要所を記す。)


――上祐さんがオウム真理教について、いたく反省していることはネットに発表した「総括」などを読んで分かった。だけど出所後の再出発が相変わらず宗教であることが分からない。宗教はもうこりごりしたって感じではなかったのか?

 初っぱなにこう質問すると、彼は素直に受け止めず、質問の意味は何か、あんたは自分の宗教観を私に押しつけようとしている、それではインタビューにならないなど、20分ほどもみ合い状態になった。話がかなり通じにくい人である。


◎「宗教はこりごり」について 上祐史浩・反論

  上記の質問部分の表現は、公正ではないと思います。なぜなら、溝口氏は、 「神はいないと証明したある科学者がいた」という説を持ち出して、「それを読んでくれ」という話をしたため、それに対して、私は、「神がいるともいないと も、科学的には証明できることではなく、ある科学者が、神はいないという証明をしたことを理解しろ、ということは、押し付けであり、神がいるという人と、 神がいないという人とそれぞれいてよいのではないか」と主張したまでだからです。
 この点を持って、「素直に受け止めず」というのは、依然とし て、神がいないというのが絶対的な真理なのに、それを受け入れないと主張しているかのようであり、だとすれば、世界中の神を信じる人達、宗教者を否定する 立場となり、偏りすぎていると思います。素直になるべきは、どちらの証明もできないという事実についてであり、私の方が素直でなかったというのは、偏った要約だと考えます。
 また、私の記憶が正しければ、「もう宗教はこりごりではないか」という表現は、溝口氏が実際に私に質問した内容・表現ではな く、同氏の内面での感情だったのではないかと思います。なぜならば、「もうこりごりではないか」と具体的に聞かれれば、即座に「なぜ(新しい形で)宗教を 行おうとしているのか」を具体的に説明したと思うからです。以上によって、この‥の質問者の表現を修正いただくようにお願いします。
※編集部注:原稿チェックに際して上祐代表からのメールを頂戴しました。



教祖や信者の暴走が新たなオウムを生む

――では職業としての宗教人、つまり生計を立てるために宗教をやるってことをどう考えます?

 上祐 「宗教を続けるのは何故かというのを特に意識したことはありませんでした。
ただ潜在意識的には、それが自分にとって自然な流れであり、もう一度自分が何か仕事をやるとして、その仕事は宗教以外の別の職業ではなかったということだと思います。 
その中には、私も人間ですから、宗教しかできないという、利己的・打算的なものもあったかもしれないし、今までの宗教の問題を乗り越えた新しい宗教を創造したい、という自分なりの志もあると思います。そういったものが複合して、宗教を続けているのだと思います。
もっといえば、21世紀のために、新しい宗教や思想を創造して、宗教の革新を促したいと思っています。そして、根底には、単純に、宗教だというのがあると思います。
 振り返って見ると、私は子供のころから、予言や超能力などを含めた精神世界が好きだったと思います」


 上祐さんは子供の頃から月刊オカルト誌の「ムー」や「トワイライトゾーン」を読みふけり、超能力や超科学、陰謀論、怪奇現象などに夢中になったらしい。その流れの中で麻原彰晃に行きつき、麻原の予言に惹かれていった成人した後も幼児性を残したと評せるかもしれない。


 上祐 「麻原はハルマゲドンの予言をして、それが当たらなかった。普通の宗教家なら、ハルマゲドンが来なかったのは、来ないように私が祈ったから来なかったなどと、誤魔化すところ、麻原は自分で予言を実現しようとして、地下鉄サリン事件を引き起こした。
なぜ麻原はあんな事をしたのかを考えていて、思い当たったことは、麻原の予言の世界観が、非常に大日本帝国的なことでした。
 1997年に、日米決戦があるとか、2006年までに広島に原爆が落ちるとか、日本が天皇制に戻るとか、といった麻原の予言は、全部、その60年程前に、実際に、大日本帝国で起こったことの焼き直しでした。
 それまでは、オウム真理教は日本という国とは別個の神の集団だと考えていたのが、実際には、日本の中から生み出されたもの、日本の過去の暗部から生まれたと感じるようになりました。
 また、麻原信仰から脱却する上で力になったのはお釈迦様の教えです。その教えは、すべてがつながっている、宗教も社会も国もつながっている。すべてが相互依存のもとにあるという教えですが、これがオウムを抜け出す上で力になりました。
それによって、麻原流の間違った仏教の解釈から、本当の宗教とか、完全の宗教とまでは言い切りませんが、よりまともな宗教的な理解に転換していくきっかけになったのが、釈迦牟尼の教えです」


――よりマシな宗教になったとして、リーダーは上祐さんです。相変わらず予言好きだ。その予言は当たるんですか。

 上祐 「今の私は、予言好きでもなければ、予言をすることもありません。もちろん、合理的な根拠をもって、予測・予見を述べることはしますし、その結果が間違っている場合は、それでいいと思います」


――上祐さん自身はその後どう変わったんです?

 上祐 「ひかりの輪では、特定の人を神としない。教団では、信者を会員と呼んでます。
教祖や信者が暴走すればオウムみたいになる。また宗教が暴走すれば21世紀、イスラムやキリスト教の各原理主義に典型的なように宗教が社会に害をなします。
 今、マヤの予言が盛んに言われている。あるいはフォトンベルト、あれは当たらないと私は言ってます」

  マヤの予言というのは2012年を終末の年とする予言である。マヤの年代学によれば、今の時代は紀元前3114年に始まり、2012年12月22日、壊滅 的な大地震のため破局を迎えるという。予言が実現すれば2年後、地球は滅亡することになる。フォトンベルトについては、エセ科学の信者やオカルト好きが唱 えている。2012年12月23日、銀河系を回る地球は高エネルギーフォトン(光子)のドーナツ状の帯に完全に突入する。これにより強力な電磁波で太陽や 地球の活動が大きく影響を受け、異常気象や火山活動、地震などが頻発する。電子機器が使えなくなる。人類の遺伝子構造も変化する、災厄だ、と。
 よほどのオカルトファンならこうした予言を真剣に受け取るだろうが、一般人は歯牙にもかけない。それどころか、そんな予言があること自体を知らない。


 上祐  「私が恐れているのは、こういう予言を実現したいと思っている層があるんじゃないかということです。このダルい日常を変えたい、自分をないがしろにしてい る社会なら、なくなった方がいい。いわば病んだ心の投影としての事件であり、災厄です。世界を激変させたいと願う社会病理現象がマヤの予言を信じさせ、予 言の実現を願わせる。
 分かりやすく言えば、予言なしにはいられないということ。オウムに入った人の一部には、予言中毒の人がいます。
 私は、それをリハビリする手伝いをしていこうと思っています。そして、私の過去の過ちを教訓として正しく学んでくれれば、人生の20年、30年を節約できます」


地球を救う存在だった宇宙空間と麻原彰晃

―― 上祐さんは早稲大学大学院の理工学研究科修士課程を修了した後、宇宙開発事業団に就職する。が、わずか1ヶ月で退職し、当時のオウム神仙の会の出家信者に なってしまう。もし仮に宇宙開発事業団を続けていたなら、あるいはオウム神仙の会に入らなかったら、自分の人生はどうだったのか、2つの道を比較考量した ことはありますか。オウムの道は実り多い迷い道だったのか、寄り道だったのか。

 上祐 「宇宙開発事業団に入ったのも、麻 原のところに行ったのも動機はあまり変らなかったんですね。というのは、あの当時ノストラダムスなどハルマゲドンが念頭にあり、20世紀、21世紀は地球 の危機の時代になるんじゃないかなと感じていた。そのころ宇宙開発事業団の理事長が21世紀の地球を救うのは宇宙空間だと語っていました。
そこで、地球を救うという点では、宇宙空間も麻原も同じだが、麻原が救世主であり、麻原の下で自分が解脱できるならば、その方がより救済できるという考えに、当時は、はまってしまったんですね。
 私が辞めた後、ご存じかと思いますが、宇宙開発事業団は次々失敗を重ねる。25年前の予想では、今や宇宙コロニーができていてもおかしくない雰囲気もありました。
しかし、数々の失敗に耐え、こつこつと積み上げて、今日の成功に至った職員の方々には敬意を表したいと思います」


――積み上げて高みに至るというのは人がやってきたこととして当たり前のことじゃないですか。忍術で一足飛びに月には行けないんですから。

 上祐 「今振り返ってみると、当時の私には、現代人的なインスタントな思考があって、オウムなら早く解脱と救済ができると主張する、麻原を信じる弱さがあった。
 宇宙開発事業団いてもみんなと一緒に失敗していたと思いますが、その失敗の連続を乗り越えて成功するのと、オウムに入ってから失敗して、そこを脱却したのと、シンクロしてるように思います。
 そういった意味で、私は1回挫折しなければ、浮き上がれない人間だったのかもしれません。どっちの道に進んでも、安直な理想主義によって失敗するという業が、私にはあったのではないかと思います。
 今となっては失敗を生かさなくてはならない辛抱強いお釈迦様の教えによって救われるのであり、性急なキリストの登場による救済はまやかしだと若い人たちに教えていかなければならない。それができたとき失敗が成功の母になると思います。
 そして、宗教で失敗したんだから、宗教についてはよく知っている。だから、過去の過ちを改めた、新しい宗教をやることで、失敗を成功の元にできると考えています。
 宗教で失敗したんで、例えば、農業を始めるというんでは、失敗が成功に元にならず、また失敗するかもしれない。私は、農業のことをまるで経験がありませんから。
 だからこれが冒頭の質問に対する私の答えになります。宗教で失敗したのに、なんでまた宗教やるのか、という疑問であれば、それは当然と思いますが、その点について、私の考えは、お話ししたとおりです」


  麻原は空中浮遊できるという触れ込みだった。が、その空中浮遊たるや、あぐらを組んだまま、たかだか数十センチ飛び上がるだけの話だった。これと探査機は やぶさが小惑星イトカワに飛んで、その砂塵を持って帰ることと、どっちが偉いか、どっちが現実に対する働きかけとして合理的で有効なのか、分かりきった話 だろう。
 宗教はあるとき合理的な説明を飛び越えて、いきなり神を信じる非合理な行為だろうから、失敗の宗教を脱却して、その教義を修正すること でよりマシな宗教に行き着けるか、その保証はない。だが、信仰したい者には信仰してもらおう。日本国憲法は信教の自由を定めていることだし。


サリンを撒く車でオウムは暴走した

――ひかりの輪の数字的な面を聞きます。今、会員は200人くらい?

 上祐 「そうですね、200人ぐらい。しかしどこから会員か会員でないか曖昧なところもありますね。専従スタッフが30人、会員が145人、他に会員でなくても道場に通ってくる人もいるし、未だに麻原を盲信している人たちへの教化活動もあるし。
 面倒を見れる会員の数には限りがある。丁寧にケアするために会員を増やしてはいけないという自制が21世紀の宗教には求められている。指導員や幹部がお金や権力を貪らなければ、会員を増やさず、教団が暴走することもないと思ってます」


――会員のつとめは?

 上祐 「月1000円の会費ですね。これが最低限のつとめで、あとは個々人の自由ですね。3時間でいくらというヨーガの教室もあって、その参加費もある。会費、拠出金、参加費が主たる財源です。他に専従スタッフが外部でアルバイトするってこともある」


――アルバイトって何をしてるんです?

 上祐 「普通というか、フリーターみたいなバイトです。オウム真理教時代にはパソコンショップなどがありましたが、あれはパソコンがまだニッチ産業だった時代だからできたことで、警察にも潰されたし、デルとか大手が出てきて、価格競争の面で、もう太刀打ちできない。
 あとソフトというか、プログラミングの仕事もあり、当時は希少価値があったけど、今は肉体労働に準ずる位置に下がってしまっている。会員も40代、50代になって年齢的にも無理になってきた。
  だから今は工場にいく派遣労働とか、タクシー運転手、掃除仕事。ワーキングプアのままっただ中に5~6人います。専従職員のうち20人は各支部に配属、会 員の指導に当たる内部スタッフをやっている。それ以外は外に働きに出る。会費だけでは足りないという必要に迫られての流れですね」


――ひかりの輪は出版とか映像とかやってますか。

 上祐 「昔、オウム真理教は盛んにやってましたが、今はやってません。外部布教は公式ホ-ムページとか、限られてます。ただし教団の幹部が外部の出版社に頼まれて本を出すってことはあります。宗形真紀子著「二十歳からの20年間-"オウムの青春"の魔境を超えて」(三五館)がそうですが、この印税は個人収入になります」


――じゃ、ひかりの輪は内福豊かじゃない?

 上祐  「全然、豊かじゃないですよ。賠償金もあるし、豊かになれる道理がない。まあ、宗教は金儲けのためにやるってことが常識みたいになってしまっているけど、 本来好きなことをやってるんだし、お金が目的でないし。足るを知って、ぼちぼち暮らせればいいって感じですね。そうすれば麻原にならずにすむ」


――賠償金って延べ払いなんでしょうけど、年間いくらぐらい?

 上祐 「(オウム事件の)被害者、遺族の方の弁護士との間に契約がありまして、年間最低300万円、努力目標800万円ですね。今不況ですから、なかなか大変なんだけど、去年は最低義務を果たし、今年もなんとか義務は果たせそうって感じですね」


――オウム真理教生き残りの主流派、アレフにも賠償義務はあるんでしょう。負担割合はどうなってます?


 上祐 「うちは去年7月、契約を締結したんですけど、アレフは賠償契約を拒否してるようです。去年11月、被害者の弁護士が呼んでも来なくなった。それで今もめてるようです」


――このマンションに専従者が居住しているわけですね。面積が広いし、家賃は高いでしょう?

 上祐  「ご推察の通り、家賃は高く、その関係で、最近、1階は半分ほど、2階は3分の1ほどお返しして、200万円以上だった家賃を百数十万円に減らしました。 大家さんの先代は教団の理解者で、後を継いだ方は、庇護もしないが、むげに追い出すこともしないとして、冷静に対してくれています。
 大阪支部も同じで、大家さんと交渉して、借りる部屋を変えて、家賃を5分の3ぐらいに減らしました。
 やはり家賃の縮減が最大の経費節減ですね。ここ以外に住むところがないという点で借りられるってことは貴重ですけど。それでも賠償金を抱えている立場では経費を絞らなければならない」


――ホームーページなどを見て、ここに訪ねてくる人はいますか。

 上祐 「東京、大阪、それに千葉、長野、名古屋、横浜、仙台、福岡に道場があるんですけど、全国の支部を入れて月に5人ぐらい訪ねて来ますかね。最近少しづつ増えてきた感じはあります。
  ホームページでは私の講話などを動画にしているんですけど、そのアクセスで月に500~600人。私も含め幹部は、それぞれミクシィをやってます。やはり 中には、半信半疑で、恐る恐るって感じな人も少なくありませんが、実は悩みがあるんですといったことが寄せられてきます。それに答え、人生相談に応じるわ けですが、最近の年齢層は昔より上で、30代、40代が多い。類は友を呼ぶというか、人生一度経験して、それが失敗か停滞か分からないけれど、その経験を 成功のもとにしようっていうのが主流ですね。
 男女バランスがとれているように思いますけど、支部によってちがいますね。福岡、仙台は男ばかりだったけど、最近福岡では女性も増えてきた。結局、支部の責任者が男と女、どっちに好かれるかってことが影響してるんじゃないかとも思います。
  会員の方は、不況ですから、一般の方同様に、経済的には豊かじゃないですね。オウムの時代はバブルの絶頂期でお布施の額も半端じゃなかった。私の知るかぎ り最高額は現金で1億円、不動産の寄進で1億円以上というのがありました。だけど今はとてもとても。何かを節約して会員に、という方が多数派です。
 オウム時代、出家したからには以後、麻原のお世話になるんだから、全部出せって、それが荒稼ぎになった。
  一方、今ひかりの輪は強く出家を進めてない。もちろん教団はコミューンですから、出家すれば個人財産がなくなり、集団的な私有財産になります。出家した会 員には、毎月の小遣いを8000円支給してます。ただし、外に働きに行っている人の場合は、お小遣い以外に自分で使っている部分もあるかもしれませんが (笑)」

 月8000円。厳しすぎる世界だが、それでもそこに好きで飛び込もうという人が少数ながらいる。驚くべきことだが、間違ってもこういう人たちに敬意を示してはならないとインタビュアーである筆者は思う。


 最後に本誌の読者にメッセージはないかと促すと、

 上祐 「読者の方が、何か悪いことをやっていても、私などは、あの一連の犯罪を行ったオウムにいたのですから、その意味での共通点、縁があると思います。
 しかし、暴力団だって、オウムほど社会の指弾を浴びた組織はないでしょうし、暴走族といっても、オウムはサリンを撒く車で暴走したんですから、次元が違います。暴走族の方の自己表現はまだまだ健全だと思います。
 そして、私が、今の時代の雰囲気の中で恐れているのは、"一人オウム"の問題です。例えば、秋葉原で無差別殺人の事件がありましたが、あのような個人による弱者に対するテロが多くなることです。
 これは、被害妄想や逆恨みといった心の問題が原因している点では、麻原・オウムと共通点があり、根は同じだと思います」


 インタビューの後半、上祐さんの語り口は非常にマイルドに、親しみやすくなった。それを信じるか、信じないかは読者の人間判断に任されている。

 (取材・文◎溝口敦、撮影◎平田たいら 写真提供◎共同通信/※コアマガジン社転載許可済)

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