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メディア掲載(2011年)

ひかりの輪代表・上祐史浩が語る「オウムを創り、その意思を継ぐポア計画を垣間見る作品の恐怖」(『月刊サイゾー(2011年3月号)』)

ひかりの輪代表・上祐史浩が語る

オウムを創り、その意思を継ぐポア計画を垣間見る作品の恐怖」 

サイゾー2011年3月号表紙.jpg 私は出家している身なので、普段あまり映画などは観ないのですが、今回は宗教界でタブーとなった、オウム真理教的な思想が垣間見れる3作をご紹介しましょう。

 

 まず、オ ウム的な思想が感じられる作品といえば、『宇宙戦艦ヤマト』。ヤマトがそもそも「戦艦大和」の復活であることに象徴されるように、同作は大日本帝国のオカ ルティックな部分と結び付いています。戦後の右翼思想に強い影響を与えた石原莞爾の『世界最終戦争論』を戯画的に再現すると、ヤマトの構図そのままになる んです。全員が日本人のヤマトの乗組員は大日本帝国、敵対するガミラス帝国の総統・デスラーはナチスとヒトラーのまさにパロディ。

 

そ して、石原莞爾が法華経を信仰し、仏教を奉じる日本が世界を制するとした通りにヤマトはガミラス帝国を破るのですが、それ自体が麻原・オウムの思想とそっ くりでした。当時のオウムには「すすめオウムよ、ヤマトのように」という歌や、麻原と信者が一緒に宇宙船に乗っているアニメもありましたし、「コスモク リーナー」という毒ガス除去装置も、ヤマトの放射能除去装置「コスモクリーナーD」そのままです。

 

 ただ、麻原は、自身を単純に沖田艦長と重ねていたわけではないようで、「私はデスラーに似ている。あの冷酷なところが」と笑って言ったことがあります。また、「ヒトラーに似ている」とも。

そ の時は、内心そう感じていた弟子たちが多かったので、彼らがそれを聞いて盛り上がってしまい、それを見た麻原は「自分と違って、ヒトラーには四無量心(= 仏の慈悲)がない!」と言って、弟子を沈黙させていましたね(笑)。ヒトラーの復活まで預言していましたから、シンパシーを感じていたのでは、と思います が。

 

 さて、ヤマトはオウムを作った人たちに影響を与えた作品ですが、その後信者になった人たちに影響を与えたのが『新世紀エヴァンゲリオン』です。私は99 年の出所後に観たのですが、その頃すでに、教団の布教のための資料として使われていたくらい基本哲学が似ていた作品でした。

セ カンドインパクトはハルマゲドンですし、人類補完計画は、人類の肉体存在を否定し、精神体に昇華させようとする点で、人類を「ポア(正当に殺すこと)」し て魂を高い世界に送るというオウムとそっくりです。さらに、これを秘密結社が予言書のシナリオとして行う点も同じ。私は初めて観た時、オウムの人間が作っ たのではないかと疑いましたよ。

 

 オウムに は、親からの愛・恩恵を感じ取れず、麻原のもとに集まった人が多かったと思います。戦後社会が徐々に権威や理想を失い、相対化されるようになった時代に、 その替わりとなったのが麻原だったんです。それは父親に反感を持ちながら、エヴァとシンクロしていく主人公の姿と重なります。この作品が地下鉄サリン事件 と同じ年に生まれたのは、そうした父権失墜の時代を象徴しているような気がします。

 

 そして、 そのエヴァから一歩進んだ宗教的感覚を感じたのが『アバター』です。この映画は、クライマックスで人間の意識をほかの肉体に完全に移し替えてしまう。これ が、オウムも傾倒したチベット密教カギュ派の始祖・マルパの秘儀とそっくりなんですよ。オウムの教義・ポアにはもうひとつ奥の意味があって、それがこの映 画で使われた「肉体から別の肉体へ意識を移し替える」こと。1000年も前に途絶えた密教の奥義と同じ演出は、宗教的な視点からも興味深く感じました。

 

 また、この"意識体が操作する"という感覚には、宗教の未来も見いだすことができます。脳とインターネットが直接つながり、空間を超越していく。このように五感が延長されたら、自分と他者の区別は弱まり、宗教の求める慈悲や博愛の理想は実現できるかもしれません。(談)

(構成/大熊 信)

 

じょうゆう・ふみひろ

1962年、福岡県生まれ。元「オウム真理教」外報部長。一連のオウム真理教事件では国土法違反などで逮捕され、99年に出所。2002年より「アレフ」の代表に就任するも、脱退。現在はオウムの教義を排除したとする「ひかりの輪」の代表を務める。

 

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